分化的接触論

分化的接触論(differential association theory)とは、人は他者との相互作用を通じて、犯罪行動の価値観や態度、テクニック、動機を学ぶという理論です。

簡単に言うと、人は他者に影響されて犯罪を学ぶということです。

この理論は、アメリカの犯罪学者E.H.サザーランドによって考えられました。

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分化的接触論の9の命題

サザーランドは、分化的接触論について、9の命題を挙げています。

  1. 人は犯罪行動を他の個人から学ぶ
  2. 人は犯罪行動について、コミュニケーションの過程で他の人との相互作用から学習する
  3. 人は犯罪行動の主要なポイントを、仲の良いグループ内で学習する
  4. 人が犯罪行動を学習する際、その学習には以下が含まれる。 (a) 犯罪のテクニック。非常に複雑なものから単純なものまで。 (b)犯罪の動機、衝動、合理化、態度等に対する特定の意味づけ
  5. 人は犯罪の動機、衝動に対する特定の意味づけを行うが、その際にそれが法律に照らして好ましいものか、好ましくないかを学習する
  6. 法律を違反することについて、それを望ましいと思うことが、望ましくないと思うことよりも上回るとき、人は犯罪を犯す
  7. 分化的接触は、頻度、期間、優先性、強度の点で異なる
  8. 犯罪と非犯罪パターンに関わる犯罪行動の学習は、他のあらゆる学習に関連する仕組みのすべてを含んでいる
  9. 犯罪行為は一般的な要求と価値の表現であるが、非犯罪行為も同じ要求と価値の表現であるため、これらの一般的な要求と価値から犯罪行為を説明することはできない

主要なポイント、ユニークな点

この理論の主要なポイント、ユニークな点を紹介します。

  • 単に未成年者の非行や下層階級の犯罪を説明するだけではない点。犯罪は学習行動と理解するので、ホワイトカラーや、企業、組織犯罪にも適用できる
  • 犯罪行動を学ぶ過程は、犯罪行動以外を学習する過程と何ら変わらない。サザーランドは犯罪行動の学習に関して、独自の学習プロセスは存在しないと主張している
  • 一般的な要求と価値から犯罪行為を説明しない。たとえば、「お腹が空いたけどお金がない」場合、盗みという誘惑にかられるかもしれない。しかし、犯罪行為をしない人も、同じ要求と価値に動機づけられている
  • 法律を違反することについて、それを望ましいと思うことが、望ましくないと思うことよりも上回るとき、人は犯罪を犯す

参考記事:Differential association

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