貧困の文化

人類学者オスカー・ルイスは、1950年代のメキシコにおいて、貧しい人びとが、具体的にどのような生活を送っているのかを明らかにしようと調査を行いました。

ルイスはこの調査において、「強い現在志向」や「心理的病理への高い耐性」など、貧困層の約20％に共通する50以上の特性を挙げました。

これらの特性は、家族の中で世代を超えて受け継がれ、個人の経済的な上昇の機会を妨げるとされました。

彼の貧困文化論は、アメリカの大衆から共感を得て、生産性のない貧しい人々に対する道徳的非難と結びつきました。

また、社会科学者は、被害者非難や心理的還元主義的な点を批判しました。

1970年代から1990年代にかけて、貧困の文化が本当に存在するのかどうかをめぐり激しい論争が起こりましたが、理論的には実りあるものではありませんでした。

それらは、政治的な罵り合いに陥るか、あるいは貧困層の苦悩を否定することになりました。

貧困の文化という概念は、社会的不平等に関する研究がいかに社会的偏見を反映しているかを示しています。

また、歴史や社会構造を無視した理論上の真空状態の中で文化の概念により階層を説明することが不適切であることを示しています。